初心者が学ぶ無人航空機

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GPSホールドモードとは?位置保持の仕組みとGNSSの関係を整理

ソラタ

「GPSホールドとアルティチュードホールドって、どっちも"止まって飛ぶ"ことじゃないの?屋内だとどうなる?」位置と高度を別々に保持する仕組みを整理します。

この記事の要点

GPSホールドモード(ポジションホールド)とはGNSSで現在位置を把握し、その場に自動的に留まり続ける飛行モード。風があっても自動補正してホバリングを維持する。

GNSSの受信精度が低下すると位置保持精度も落ち、GNSS受信が途絶するとドリフト(風に流される)が発生する。

ドローン初心者にとって「スティックから手を離してもホバリングし続ける」という動作は当たり前のように見えますが、その裏ではGNSS(GPS等の衛星測位システム)が常に機体の位置を把握し、自動補正を繰り返しています。

この機能を「GPSホールドモード」または「ポジションホールドモード」と呼びます。風が吹いても、気流の乱れがあっても、GNSSが正常に機能している限り機体は指定された空中の一点に留まり続けます。

しかし、このモードはGNSSに依存しているため、電波環境の悪い場所では正常に機能しないケースもあります。

一言でいうと、GPSホールドモードは「空中のある点に機体をピン留めする機能」です。GPSという衛星ナビを使って「今ここにいる」を確認しながら、風に流されないよう自動修正し続けています。

GPSホールドモードの仕組み

GPSホールドモードの動作原理は次のとおりです。

処理ステップ内容
①現在位置の取得GNSSモジュールが衛星信号から緯度・経度・高度を取得
②目標位置との比較ホールド開始時に記録した目標座標と現在位置を比較
③誤差の演算フライトコントローラーが位置ずれ量を計算
④モーター出力補正各モーターの回転速度を調整して位置ずれを補正
⑤ループ処理上記を高速で繰り返し、常に目標位置を維持

この処理は1秒間に何十回も行われており、人間が操縦するよりはるかに高速かつ正確に位置を維持できます。GNSSの測位精度が高いほど、位置保持の精度も高くなります。

GNSSモジュールを含む搭載デバイスの種類と機能については、無人航空機の飛行の安全に関する教則(下図)に一覧として示されています。

国土交通省教則第4版 p.42 無人航空機搭載デバイス一覧(GNSSは人工衛星の電波を受信し機体の位置・高度を取得するデバイスとして定義)
出所:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則 第4版」(2026年2月)p.42 無人航空機に搭載される主なデバイスの種類と機能一覧(GNSSは「人工衛星の電波を受信し、機体の地球上での位置・高度を取得するデバイス」と定義)。

ATTIモードとの違い

GPSホールドモードと混同しやすいのがATTIモード(アティチュードモード)です。ATTIモードはGNSSを使わずに機体の姿勢(傾き)のみを維持するモードです。

モードGNSS使用位置保持風への対応
GPSホールド(ポジションホールド)使用する自動で位置を維持自動で風に抵抗
ATTIモード(アティチュードモード)使用しない位置は維持しない風に流される
マニュアルモード使用しない姿勢も自動維持しない完全に手動操縦が必要

ATTIモードではGNSSを参照しないため、スティックから手を離すと機体は水平姿勢を保つものの、風によって徐々に流されて位置が変わってしまいます。GPSホールドモードに比べて操縦難易度が格段に高くなります。

GNSS受信状況が悪いときの挙動

GPSホールドモードはGNSSの受信品質に依存します。受信衛星数が少なかったり、マルチパス(建物による反射)があったりすると、以下のような問題が発生します。

受信状況発生する問題
衛星数が少ない(Fix解なし)位置保持不可→ATTIモードへ自動移行またはドリフト
マルチパス影響あり位置がわずかにずれ続ける「フライアウェイ」のリスク
磁気干渉(コンパスエラー)機体の向きの誤認識→誤った方向に移動
GNSS完全途絶機体がドリフトまたはフェールセーフ動作を開始

飛行前にGNSSの受信状況(衛星数・HDOP値)を確認することが重要です。一般的に衛星数が6〜8機以上、HDOP値が1.5以下であることがGPSホールド飛行の目安とされています(機体・ソフトウェアにより異なります)。

ビル街・屋内でGPSホールドが効かない理由

高層ビルが密集した都市部や屋内では、建物がGNSS衛星からの電波を遮断・反射するため、測位精度が著しく低下します。このような環境では、GPSホールドモードに頼った飛行は危険です。

屋内飛行では、GNSSの代わりに光学フローセンサー(床面の画像から移動を計算)や超音波センサーを組み合わせた位置保持を使う機体があります。ただしこれもGNSSほど精度が高くない場合があります。

フェールセーフとの関係(GNSS途絶時のRTH)

多くのドローンはGNSSが途絶した場合のフェールセーフ(安全装置)としてRTH(Return to Home:ホームポイントへの自動帰還)機能を持っています。ただし、RTHもGNSSを使って帰還ルートを計算するため、GNSS途絶状態ではRTHが正常に機能しません。

GNSS途絶時のフェールセーフは機体の設定によって異なり、「その場でホバリング」「徐々に降下して着陸」「操縦者が手動操縦で対処」などが選択できます。事前に自分の機体のフェールセーフ動作を確認しておくことが重要です。

学科試験で混同しやすいポイント

学科試験では「GPSホールド」と「アルティチュードホールド(高度保持)」の違いが問われることがあります。GPSホールドは水平位置を保つ機能、アルティチュードホールドは高さ(高度)を保つ機能です。

2つは別の機能であり、多くの機体ではGPSホールドモード使用時はどちらの機能も同時に働きます。

混同しやすい用語

GPSホールド(ポジションホールド):GNSSで水平位置(緯度・経度)を維持する機能。風があっても同じ場所に留まり続ける。

アルティチュードホールド(高度保持):気圧センサーなどで垂直方向の高度を維持する機能。GPSホールドとは別の機能で、水平方向の位置は維持しない。

学科試験対策|管理人の一言

「GPSホールドモードはGNSSを使って位置を維持する」「ATTIモードはGNSSを使わないので風で流される」という対比をしっかり押さえてください。また「GNSS受信が悪い環境(ビル街・屋内・悪天候)ではGPSホールドが機能しない」という点も頻出です。

フェールセーフのRTHもGNSSを使う点を忘れずに。

一問一答

Q1. GPSホールドモードで使用する主なセンサーは何か?

A1. GNSSモジュール(GPS等の衛星測位システム)。

Q2. ATTIモードとGPSホールドモードの最大の違いは何か?

A2. ATTIモードはGNSSを使わず位置を維持しないため、風で機体が流される。GPSホールドモードはGNSSで位置を把握して自動補正する。

Q3. GNSS受信が途絶した場合、GPSホールドモードはどうなるか?

A3. 位置保持ができなくなり、機体がドリフト(風に流される)するか、設定されたフェールセーフ動作(ホバリング・自動着陸など)に移行する。

まとめ

GPSホールドモードはGNSSを活用してドローンの水平位置を自動維持する飛行モードです。ATTIモードとの違いは「GNSSによる位置把握の有無」であり、GNSS受信状況が悪い環境(ビル街・屋内)では正常に機能しません。

飛行前にGNSSの受信状況を確認し、受信品質が不十分な場合は飛行を見直す判断が重要です。また、GNSS途絶時のフェールセーフ動作を事前に確認・設定しておくことが安全飛行の基本です。

関連記事:フライトコントローラー(FC)の仕組みフェールセーフの種類と設定GNSSと地磁気センサーの関係

参考資料

・無人航空機の飛行の安全に関する教則(国土交通省 第4版)

・無人航空機操縦者技能証明に係る学科試験の科目について(国土交通省)

この記事を書いた人

ソラタ

30代。二等無人航空機操縦士の技能証明取得を目指して勉強中。学科試験で詰まったポイントを整理してお伝えします。